【短】屋根裏の王子様
「っていうか、できたこと、ないです。……好きな人すら」
初対面の人相手に、なにを暴露しているのだろう。
ヒカルさん、とても話しやすい雰囲気の方だから、つい……。
「……へぇ。そう」
ヒカルさんは、嬉しげに笑う。
ちょっとなにか企んでいそうな歪な笑いにも見えるけれど、そんな顔も美しい。
「家賃……ヒカルさんの方がたくさん払うのは不公平です」
「気にしないで。僕、先輩だし。それに……」
それに?
「……ううん、なんでもない。これからよろしくね、泉ちゃん」
「こちらこそ……、よろしくお願いします!!」
こうして、ヒカルさんとわたしの
内緒のルームシェアが、始まった。