【短】屋根裏の王子様


泉ちゃんの頬が、みるみる赤く染まっていく。


「……あ、ありがとうございます」


ねぇ、泉ちゃん。


もし、僕が僕じゃなかったとして。


屋根裏にいたのが、別の男だったら、君はどうした?


こんな風に、そいつを受け入れた?


そいつの前で……そんな顔見せるの?


「そ、そうだ。ヒカルさん」


「ん?」


「もしも、もしも……なんですけど。彼女さんを呼ぶときは、わたし、どこかへ出掛けますから。安心して下さい!」


なにそれ。


そんなことされたら、むしろ心配でしかないよ。


「どこかへって、どこに行くの?」


「ど、どこだろう。散歩……とかですかね?」


「それじゃあ……彼女を泊めるとしたら?」


「えぇ!? そ、そのときは……んー、か、管理人さんに泊めてもらおうかなぁ……なんて」


バカだね、泉ちゃんは。


あんな男のところに泊まったら無事で済まないよ?


「呼ばない」


「えっ」


「彼女なんていないし」


「……そ、そうなんですか」


そんな、ホッとした顔しないでよ。


可愛すぎて__今すぐ、怖がらせたくなるから。

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