アフタースクールラヴストーリー
静かな青空と波の音
白いワイシャツ、レジメンタル柄を施した臙脂のネクタイ、その上からは黒のダークスーツを羽織る。
まるで就活中の学生かのような服装で、僕は自転車へと跨り職場へと向かう。
外は雲一つない青空で、海岸線から聞こえる波の音はとても穏やかだ。
そんな波の音を心地良く聞きながら海岸線を抜け、坂道に入っていく。
傾斜はかなり急で距離はおよそ百メートル。
周りの人は皆自転車を降りて歩く中、僕は息を切らしながら自転車を漕いで登っていく。
登り終え、短い下り坂を下った先にある十字路を右に曲がる。
そこから三百メートル程真っ直ぐ進めば、僕の勤める職場に着く。
県立全田西高校。
通称“ゼンコウ”。
僕はこの春からここで教員として勤めることになった。
採用試験に二回落ち、三度目の受験でようやく合格。
そうして、晴れて正規の教員となることができた。
といっても試験に受かるまでの二年間は、他の高校で非常勤講師として働いていたので、高校に勤めるのは実質三年目である。