アフタースクールラヴストーリー
「……おはよう」
教室に入ると、異様な空気が流れていることに気が付く。
皆が私の方を見て、中にはこちらには聞こえない声で何やら話している人もいる。
私が戸惑った顔で周りを見回していると、クラスメイトの女子が三人、挑発的な表情で私に寄ってきた。
「副崎さん、これどういうこと?」
「え?」
一人の女子が、私にスマホの画面を見せる。
それを見て私は驚愕した。
そこに映っていたのは、私と久田先生が二人で水族館の魚を眺めている姿だった。
「まさか副崎さんと久田先生が、そういう関係だったなんてね」
「生徒会長と生徒会顧問でデキちゃったってこと? うわぁ……、副崎さんはそういう人じゃないと信じてたからショック」
「実はこういうことが目的だったりしてね」
周りで話す声が、私の耳に入る。
「ち、違うよ皆! そういうのじゃ……」
「じゃあこの写真は何?」
目の前の三人の内の一人が詰め寄ってくる。
「それは……」
「あのさ、もう一つ言っておくと、私友達から聞いちゃったんだよね。水族館から出てきた後、副崎さんが久田先生に告白したって話」
「へっ……」
クラス内のざわつきが増す。
「美奈、それ本当なの⁉」
信じられないという様子でちひろが駆け寄り、私に尋ねる。
「え、えっと……」
私が口籠るのを見て、告白の話を聞いた女子は確信したようだった。
「本当なんだね。ねえ高崎さん、副崎さんが久田先生を好きなこと、前から知ってたの?」
「う、うん……」
沈んだ声で頷いたちひろは目を伏せてしまう。
「だったら、久田先生と副崎さんの間に何があったか知ってるんじゃない?」
「それは……私も分かんない。生徒会で買い出しに行くって話までしか聞いてなくて……」
「ほんとに?」
「や、やめて。ちひろは関係ないでしょ。私の話なんだから、私に聞いてよ!」
私は堪らず、ちひろと女子達の間に割って入る。