アフタースクールラヴストーリー
「お、お父さん……」
「え?」
副崎の顔が一気に強張る。
見知らぬ男性はなんと、副崎の父親だった。
一着数十万もしそうなブランド物のスーツを身に纏い、左胸には議員バッジが光っている。
その権威ある姿に僕らは気圧され、皆何も言わずとも道を開けてしまった。
副崎の父親はゆっくりと歩き出し、目を吊り上げて自分の娘の前に立つ。
「美奈、ここで何をしている? お前は今日学校に行っているはずだろう」
「そ、それは……」
「こっちはお前のためにわざわざ会議を抜け出してきたんだぞ。こんなことで私の手を煩わせるな」
「ごめんなさい……」
父親の厳しい言葉に、副崎は完全に委縮してしまう。
二人の間には氷のように冷え切った空気が流れ、それはこの場にいる他の人間にも伝わるほどだった。
「恥を知りなさい。お前の馬鹿けた行動のおかけで、一体どれだけの人に迷惑が掛かったと思っているんだ!」
「はい……」
消えてしまいそうなくらい細々とした声で副崎が返事をする。
これ以上は副崎が持たないと思った僕は、二人の間に割って入ろうと一歩踏み出す。
だが次の瞬間、にわかには信じがたい光景が、僕の目に飛び込んできた。
「ああ……」