アフタースクールラヴストーリー

生徒会室に、スマホのシャッター音が鳴る。

「先輩方、ありがとうございました!」
「ううん、こちらこそありがとう」

最後のお別れをする生徒会メンバー達。
晴れて副崎の後の生徒会長になった平沢は、先輩達に花束を渡した途端に号泣し出してしまった。
副会長の斎藤が宥めるも、全く収まる気配はない。
ちなみにこの二人は最近付き合い始めたそうだ。

「おいおい、卒業するのは俺達なんだけど」

クールな顔で言う石動。
ただその声は、寂しさを堪えているように感じる。

「ははは、平沢は相変らずだね」

副崎は後輩から貰った花束を持ちながら笑っている。
約束の時が刻一刻と迫っていた。

「じゃあちょっと僕は抜けるね。残りは四人で心ゆくまでどうぞ」

僕は一足先に生徒会室を出て、あの場所へと向かう。
その途中、僕は一人の男性生徒に声をかけられた。

「おい」

声のする先にいたのは、副崎の幼馴染である藤澤優だった。

「おう藤澤。卒業おめでとう」
「うるせえ」

藤澤には会う度に睨まれるなど、ずっと敵視され続けている。
それでもあの日以来、二人の間には男の友情?みたいなものが芽生えた気がして、決して悪い仲ではなくなった。
……と、僕は勝手に思っている。

「俺は、美奈のことを諦めない。絶対にいつか振り向かせる」

藤澤は僕の前に立ち、堂々と言い放つ。

「そうか。でも、僕も負けないから」
「ちっ」

こらこら、一応僕は先生なんだけどな……。

藤澤はそれだけ言ってどこかへ行ってしまう。
藤澤も野球部を引退した後相当勉強したそうで、副崎と同じ大学に合格したそうだ。
それが良かったのか悪かったのかは、判断が難しいところである。
< 134 / 137 >

この作品をシェア

pagetop