アフタースクールラヴストーリー
藤澤を見送り、僕はあの場所へと到着した。
一年前、副崎と初めて会った桜の木の下に。
まだ桜の花は開花していなかったが、全てのけじめを付けるにはここがふさわしいと思った。
僕が暫く一人で待っていると、校舎の方から副崎が歩いてくる。
「待っていたよ」
「先生、ちゃんと来てくれたんですね」
「当たり前だろ。約束なんだから」
「そうでしたね」
副崎はお茶目な顔で言う。
「それより、本当に誰も来ないよね?」
「大丈夫ですよ。それに見つかっても、私はもうこの学校の生徒じゃないんで」
「いやあ……、僕が困るんだけど」
平然としている副崎とは対照的に、僕は全く落ち着かない。
立場的に反対ではないだろうか。
「それじゃ、いいですか?」
「も、もう⁉」
「見つかったら困るって言ったのは、先生じゃないですか」
「そうだけど……。心の準備とかあるし、なんでそっちはそんな冷静なんだ?」
「私、腹を括って此処へ来ましたから。早く終わらせましょう」
「うう……」
「良いですか?」
「うん……」
僕と副崎は向き合う。
心臓は悲鳴を上げるかのように鳴り響き、鼓動の加速が止まらない。