アフタースクールラヴストーリー
梅雨時に輝く晴れ間と沈むにわか雨
じめじめとした陽気が体に纏わりつく。
カレンダーの日付はいつの間にか六月に変わり、気の早い蝉の鳴き声がぽつぽつと聞こえている。
前半は初めての考査処理、後半は生徒会顧問として仕事に四苦八苦するという状態で、瞬く間に五月は過ぎてしまっていた。
一期考査終了後に林先生は産休に入り、僕は正式に生徒会の顧問に就いた。
補助についていた時期があったとはいえ、いざ一人でやるとなると勝手が違う。
理解しきれないことも多く、副崎達に助けられる場面が何度かあった。
就任して約三週間経った今は、とりあえず顧問としての役割にも少しずつ慣れてはきている。
生徒会のメンバーともコミュニケーションが取れるようになってきた。
そして今日は僕が生徒会の顧問になってからの初行事、球技大会が行われる。
朝、職員室で資料を整理していると、隣の席にいる御手洗先生がいつもの渋い声で話しかけてきた。
「おはよう。どうだい、そっちのクラスは?」
「あんまり見ていないですけど、気合入っているみたいです。初めての球技大会ってことで、僕を含め楽しみにしている人が多いですね」
「いいねえ。でも、ウチもかなりかなり気合入っているからね。三年生だけど手加減はしないよ」
全高の球技大会は、全学年合同で各競技が実施される。
学年別にするとチームが集まらないというのが主な理由だ。
そのためトーナメントであれば、一回戦から一年生と三年生がぶつかるというのも珍しくない。
ただ下級生が上級生に勝つという面白さもあるそうで、今年もそんな展開が期待される。
「友田先生はホームルームの時に、折角なんだから三年生を倒してきなさいって生徒たちに発破をかけたって言っていました。だから御手洗先生のクラスも危ないですよ」
「ウチのクラスはそんなヘマしないさ」
「ハハハ。まあそれよりも今日は、生徒会顧問としての動きの方が大変になると思います」
「ああそうか。先月から生徒会顧問になったんだっけ」
「はい。顧問になってから初めての行事なので緊張しています。準備の方は順調でしたけど、当日に何があるか分からないので」
「そうだね。もし何かあったら声かけて。できることがあれば手伝うから」
自分の胸の辺りに手を置いて頷く御手洗先生。
「はい。ありがとうございます」
改めて御手洗先生の頼もしさを感じつつ、僕は資料の整理を続けた。