アフタースクールラヴストーリー

「何だよ」

面倒くさそうにこちらを見つめる優君。
でもこれだけはしっかりと伝えておきたい。

「私も、自分が久田先生を好きなこと、おかしいだなんて思わない」
「お、おう。なんで今更そんなこと言うんだよ」
「私ね、ここで優君に何を言われても、この思いを伝えるつもりだった。それだけ私の気持ちは本気だってことを知ってほしかったの」

真剣な眼差しで、私ははっきりと言葉にする。

「ふう……」

優君は息を吐きながら、一度天を仰ぐ。

「そうかい。ま、精々頑張れ」
「うん」

私は軽く笑みを浮かべて頷き、屋上を出ようとする優君の後ろについていく。
二人の間に流れる空気は、気がつくとすっかり元通りになっていた。

「それでも俺は、お前を諦めないから」

出口の前で優君が何か呟く。

「何か言った?」

私の声が聞こえなかったのか、優君は何も言わずにドアを開ける。
特に気にすることでもないと思った私は、聞き直すことはしなかった。

その一言が私にとっても、大きな意味を持つものとは知らずに……。

私達が校舎内に入ると同時に、大粒の雨が降り出した。

< 70 / 137 >

この作品をシェア

pagetop