アフタースクールラヴストーリー
「……というわけで、久田先生と土曜日に出かけることになっちゃった」
ちひろと一緒に帰っていた私は、やや興奮気味に今日決まったことを報告していた。
「出かけるって言ったって、生徒会の買い出しに行くだけでしょ」
私とは対照的に、ちひろは冷めた様子で言葉を返す。
「でも休日に好きな人と出かけるんだよ。緊張しないわけにはいかないよ」
私達生徒会は今週の土曜日に、学園祭の備品の買い出しに行く。
その時に車を出してもらう人が久田先生。生徒会の顧問だから、
久田先生に頼むのが当然と言えば当然なのだが、理由はどうあれ休日に好きな人と外出することになったのだ。
学校で先生と会うことは大分慣れてきたが、休日に外で会うのは初めて。
学校で会うのと外で会うのとでは、全く違う心持ちだ。
「ち、ちひろだって、横山君と出かける時は緊張するでしょ」
私は口を尖らせながらちひろに言う。
「そ、それはそうだけど……。だけどそれは一対一でデートに行くからだし」
仄かに頬を赤くするちひろ。
「美奈のはあくまでも買い出し。それに他にも人はいる。わ、私とは違うし」
「あら、惚気てるんですか?」
「そ、そうじゃないし!」
私が唆すと、ちひろは頬を真っ赤にして反論する。
「分かった分かった。ごめんね。けど横山君と付き合う前とか、私と似たような状況になったことないの?」
「あー……。何回か修平含めたクラスの仲良いメンバーで、遊びに行ったわね」
「その時とか、私みたいに横山君を意識しなかったの?」
飛びつくように反応する私。
ちひろは私から目線を外し、顔を赤くしたまま答える。
「ま、まあ、意識したかな。グループとはいえ、好きな人と一緒だもん。どうやったら自分のことアピールできるか考えたし、どんな服着ていこうか、すっごく悩んだ」
「そこ! 服装だよ服装。何着ていけばいいのかな。可愛い感じの方が良いと思う?」
私が不安げな顔で聞くと、ちひろは赤子をを見つめるかのような優しい目で微笑みかける。