アフタースクールラヴストーリー

いつも通り一人で夕食を済ませ、入浴も終えた私。
自分の部屋の机に座り、冴えない表情を浮かべていた。

「うーん……」

先生と生徒。
私は好きな人とこの関係の中にある。
ちひろは私の気持ちを尊重してくれた。
けどそれは、私が久田先生のことを好きでいるという気持ちだけだ。
もしも久田先生と私の間に、今とは異なる関係ができたらちひろはどう思うのだろうか。
流石に自分でもそんな期待はしていないが、例えば……

「付き合う……とか」

自分の言葉に思わず顔を赤くする。
誰も見ていないのに、私は顔を伏せてしまう。
私と久田先生が付き合うなんて、きっとあり得ない。
だけど万が一そうなったら……。

「フフ……」

私の口元が勝手に緩む。

「もう、何を考えてるんだろ私」

私は思い切り首を横に振る。
どうせ久田先生は、私のことを一人の生徒としか見ていない。
だから二人が付き合うなんてことも起きない。
私が好きでいるだけ。
それで終わり。
それならちひろとの関係も、これまで通り何も変わらない。

「はあ…………」

私のついた溜息は、他に誰もいないこの家全体を包んでいった。

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