アフタースクールラヴストーリー

「私、ここにいることが楽しいんです。美奈先輩を中心に、この四人で一緒に生徒会のことをやっている時間がとても好きなんです。先輩二人がいなくなって新しい子が入ってきても、美奈先輩が作ってくれたこの楽しい生徒会の雰囲気を繋いでいきたい。そうなるように、平沢と二人で頑張ろうと思っています」

そう話す斎藤の言葉からは、生徒会に対する温かい想いが感じられる。

「僕も生徒会が楽しいです。副﨑先輩はすごいですよ。会長としてやるべきことをやって、僕らが困った時も支えてくれる。生徒会に入ったばかりで何も分からなかった頃、色々とお世話になりました。副﨑先輩の助けがあったから、僕は今楽しく生徒会をやれているんだと思います。しかもあの人には、周りを惹き付ける力もある。普段はあんな感じですけど、いざという時に頼りになる。副﨑先輩がいるだけで、安心できるんです。一緒に活動していて凄く格好良いなって思います。自分もいつか、あんなふうになりたいんです。でもまだ全然敵いませんけどね」

照れ隠しをしながら、平沢は話した。

「二人とも、副崎を尊敬しているんだね」
「はい」

二人の話を聞くと、副崎がどれだけ後輩に慕われていて、彼らに影響を与えているかが分かる。
誰かに目標にされるなんて、簡単にできることじゃない。
一生を終える内に一度でも、誰かの目標になれる人が一体何人いるのだろうか。
少なくとも僕はまだ、誰かの目標になったことなんてないと思う。
それだけ、副崎の生徒会長としての姿は輝かしい。
思えばそれは、彼女を初めて見た入学式の日から感じていたことだ。
そんな副崎も今回の学園祭で生徒会を引退だ。
最後に彼女が笑顔で終われるように、できることを精一杯しよう。
僕は今一度、気を引き締めた。

「ただいま戻りました」

副崎と石動が買い物を終え、帰ってくる。

「二人とも、ご苦労様」
「あ、はい。ありがとうございます」

笑顔で迎える僕の顔を見て、副崎は穏やかな笑みを浮かべる。
その笑みの裏に隠された気持ちを、僕はもっと早くに気付くべきだったのかもしれない。
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