アフタースクールラヴストーリー
家に帰ると、僕は電気も付けずにそのままリビングの椅子にもたれかかった。
あの後、副崎に答えを出すのは今じゃなくて良いと言われ、僕はそれに乗っかってしまった。
「はあ……」
僕は溜息をつきながら天井を見上げ、公園での出来事を回想する。
「一人の女性としてか……」
告白されたことにはもちろん驚いた。
だがそれ以上に驚いたのは、その後の副崎の言葉に対する僕の態度だ。
もし副崎が僕にとって生徒という立場じゃなかったら、一人の女性としての立場だったら、そう言われて僕は返事をするのを躊躇った。
普通に断ることはできたはずだ。
いや、寧ろ断るべきだった。
それなのに断らなかった。
僕は副崎のまだ答えを出さなくて良いという言葉に甘えてしまった。
それが意味するものは――。
「ああ、もう!」
頭を右手で抱え、首を何度も横に振る僕。
これでは、呉葉の時とやっていることは何も変わらないじゃないか。
出すべき答えは、僕が彼女にかけるべき言葉は自分で分かっているはずだ。
それが何故口から出てこないんだ。
僕は左手の拳で机を叩く。
自分の頭の中が全く整理できない。
明日は月曜日だというのに、これでは副崎と顔を合わせることが出来ない。
考えれば考える程、僕の心の中にやるせなさと自分への怒りが積もった。
近くの海は、不気味なくらい静寂を保っている。