鈍色、のちに天色
放課後。
新学期が始まって2日目の今日。
授業もないし、午前中だけで帰れる。
帰りの挨拶をして、ぞろぞろと教室を出ていくクラスメイト。
あたしも帰ろうと、車椅子を進めようとしたら、あっちゃん先生に声をかけられた。
「上野さん、今日はどうだった?」
「あ、えっと……みんな気さくでいい人でした」
「ふふ、そうでしょう? うちの学校はいい子ばかりなの。きっと過ごしやすい高校生活になるよ」
「そう、ですね」
確かに、過ごしやすい高校生活を送れそう。
でもあたし的には、みんなが"気さくでいい人"だと困る。
本当はもっと距離を置きたいのに、いつの間にか心を許してしまいそうで……。
「一緒にいいクラスを作っていこうね。じゃあ、また明日」
「はい、さよなら」
あっちゃん先生にお辞儀をしてから、教室を出た。