鈍色、のちに天色
「ちゃんと、考えてほしい。楓南は本当はどうしたいのか。考えて考え抜いた先で、それでもリハビリをしたくなって言うんだったら……そのときは、俺はそれを受け入れるよ」
「え…」
……なんで。
なんでよ。無理にでもリハビリやらせないの?
怒らないの?
……ううん。陽希はそういう人だったね。
あたしがどんな顔をしていたのかは、自分でもわからない。
でも陽希は、ふっと優しく微笑んだ。
「楓南は、怖いんだろ? また、誰かを傷つけたらどうしようって」
見透かされていた。
素直に頷く。
怖いよ。
家族や、紗彩や、そして陽希が傷つくことが、何よりも怖い。
そしてその原因が自分だったらって、そう思うと、怖くて怖くて。
その恐怖は簡単には拭いきれないんだ。