鈍色、のちに天色
「楓南の気持ちはよくわかる。俺だって大切な人が傷つくのは怖い。でもっ……1つだけ約束するよ」
すっと差し出される小指。
「俺は、楓南の傍からいなくならない」
「っ……」
「朋也の代わりになんて、満たないかもしれないけど……俺は俺なりに楓南の傍にいる。絶対に俺は、目の前からいなくなったりしない」
朋也の代わりだなんて、そんなこと思ったこと1度もないよ。
"楓南の傍からいなくならない"
それは、あたしが1番欲しかった言葉なのかもしれない。
でもね、"絶対"という言葉を、あの日から信じないようにしてるの。
「っ……絶対、なんてこの世に存在しないよ。この先何が起こるかなんて、誰にもわからないじゃんっ」
「……確かに、それは否定できない。でもさっ俺、簡単に死なねーよ? それに、俺が楓南の傍にいたいしなっ」
ニッと無邪気に笑った陽希を、あたしは見つめることしかできなかった。