鈍色、のちに天色









緑が多く、見晴らしのいい場所。


想像していたうっそうな雰囲気はなく、優しく爽やかな風があたしの頬を撫でていた。



あたしは今どこに来ているのかというと────そう、朋也のお墓のある墓地に来ていた。



朋也が亡くなってから、向き合えずに1度も来ていなかった。



でももう、向き合わなければいけない。

そう思って足を運んだのだ。



お母さんに墓地の場所を聞いたときは驚かれたけど、どこか嬉しそうに教えてくれた。



すると、ブーッとスマホが震えた。



『無事に着いた?』

『迷わなかったか?』



お母さんと、紗彩から。



陽希には言ってないけど、家族と紗彩には言ってある。



2人とも同時に心配する内容を送ってきて、思わずクスッと笑う。



まだ、大丈夫。

こうやって笑うことができている。



今なら向き合える。



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