鈍色、のちに天色
ゆっくりとタイヤを動かし、たくさんのお墓の中から朋也を探した。
「あった……」
"芦沢家"の墓に、朋也は入っている。
あたしは持ってきた菊がメインの花束を置き、手を合わせた。
……久しぶりだね、朋也。
ずっと会いに来れなくて、ごめんね。
避けて逃げてきて、ごめんね。
でも今日はちゃんと向き合うから。
話したいことがあるの。
あのね、────
するとそのとき、近くで誰かの足音が聞こえてきた。
「……楓南ちゃん?」
あたしの名前を呼ぶ声で、あたしは目を開けた。
その人物を見て、衝撃が心を襲う。
それと同時に、少し拒否反応が出てしまった。
だってその人は、あたしが歩かないようになった要因を作ったと言っても過言ではない。
「朋也の、お母さん……」