鈍色、のちに天色
昇降口に行くと、タタタッと駆けてきた1人の男の子。
「上野っ! また明日な!」
三上くんだった。
反射的に、あたしも「じゃあ……」と口を開いてしまう。
だけど、その言葉は止まってしまった。
だって、三上くんが肩にかけているエナメルバッグには”track and field club”─────”陸上部”って書かれていたから。
ドクン、と心臓が鳴る。
息が苦しい。
でも三上くんは言葉に詰まるあたしには気づかずに、走って昇降口を出ていった。
三上くんって、陸上部なんだ……。
どうりで足が速くて、しかも綺麗な走りだと思った。
爽快に駆け抜けていく彼の後ろ姿は、昔の自分と重なって見えた────。
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