鈍色、のちに天色
流れる沈黙。
それに耐えきれなくて、あたしは口を開いた。
「あ、あの……事故のこと、本当にごめんなさ……」
「謝らないで」
謝罪の言葉を口に出そうとすると、遮られた。
そしてバッという効果音がつきそうなくらいの勢いで頭を下げた朋也のお母さん。
えっ、と戸惑うあたし。
「……私が謝らなきゃいけないの。本当に、あのときはごめんなさい」
「……え」
「あとになって、楓南ちゃんにひどいこと言ったって、ずっと後悔してたの」
「そ、そんな……」
朋也のお母さんが謝ってくれるなんて、こんなの想像もしていなかった。
驚き以上に、気にしててくれたんだ、という嬉しさがある。
でも、朋也のお母さんが謝る必要なんて、どこにもない。
そう思って口を開こうとしたら、朋也のお母さんのほうが早かった。
「前に紗彩ちゃんに会ったのよ。そのとき、楓南ちゃんは未だに車椅子生活だって聞いて。
それって、私があのとき、2度と足を使わないでって言ったからなんでしょう……?」
「そんなこと……。あたしが使いたくなかったから、そうしてるだけです」