鈍色、のちに天色
「……正直に言うとね、今でも楓南ちゃんに対して怒りがまったくないって言ったらウソになる。私、そんな人間できてないから」
覚悟はしてたけど、いざ言われるとチクッと胸が痛んだ。
「でもね、つらかったのは楓南ちゃんも同じだって気づいたの。それに……」
1度言葉を切って、ふっと墓場のほうへ目を向けた朋也のお母さん。
「それに、朋也はそんなこと望んでないだろうなって、そう思ったの」
「朋也、が……?」
「そう。だってあの子、楓南ちゃんのことすごく好きだったでしょう? その大好きな楓南ちゃんを守るために、命を張ったんだもの。
朋也が命がけで守った人を、責めちゃいけないなって」
「っ……」