鈍色、のちに天色




朋也のお母さん……

そんな風に考えてくれてたんだ。



なんだろう。

すごく嬉しくて、涙で視界がボヤけるよ。




「楓南ちゃん。今まで相当つらい思いしてきたでしょう? もう無理しないでいいのよ。
朋也は楓南ちゃんの幸せを1番に願っているはずよ。……朋也は、そういう子でしょ?」




自慢の息子だ、と言わんばかりに誇らしげに、あたしに笑顔を見せてくれた。



そうだ、朋也はそういう人。


心優しくて、自分より人のことを優先しちゃうお人好し。



誰かの不幸を望むそうな、ひどい人じゃない。


夢の中で見てきた朋也はニセモノなんだ。



それはあたしが1番よく知っている。



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