鈍色、のちに天色




あたしは再び、朋也に向き合った。




「朋也……」



大好きだったその人の名前を呟く。



自分でも気づかないうちに、声に出して話しかけていた。




「あたしね、朋也が死んでから抜け殻状態だったんだよ? すごく苦しくて、目の前は真っ暗で。生きている意味なんかないんじゃないかって、思ってた」




夢の中にも出てきた真っ暗なトンネル。


あたしはそこからずっと抜け出せずにいた。



朋也や周りの人から責められ罵られる悪夢を見て、自分をふさぎこんで。



あたしはこうなるべきだって言い聞かせていたけど、心のどこかでは光を追い求めていた。




「そんなとき、転校した先で陽希っていう人に出会ったんだ」




太陽みたいな明るさを持っていて、朋也とは違う優しさがある人。



いつも笑顔で、いつの間にか彼の周りにはたくさんの人が集まっていて。


たくさんの魅力を合わせ持つ人なの。



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