鈍色、のちに天色




「陽希に、何度も助けられた。つらいときも、楽しいときも、ずっと傍にいてくれた」




手を差し伸べてくれて、生きる意味まで与えてくれた。



あたしにとって、大切な存在。




「家族や紗彩や、陽希の愛に気づけた。あたし、生きていてよかったなって、初めて思えたの……」




だからね? 朋也。


どうしても言いたいことが1つだけ、あるんだ。


それは。




「ありがとねっ……あの日、あたしを守ってくれて、ありがとう……っ!」




謝罪じゃなくて、感謝の言葉。



涙が溢れてきたけど、なんとか笑顔を崩さないように努めた。



あの日朋也が守ってくれていなかったら、周りの人の愛に気づくことはなかった。


だからすごく感謝しているの。




『俺はずっと、楓南の味方だから』



トンネルの出口から差し込む光まで導いてくれたのは、朋也。




『俺は、楓南の傍からいなくならない』



トンネルの出口で待っていてくれて、明るい世界へ引っ張り出してくれたのは、陽希。



2人を含めた周りの人たちに、あたしはずっと守られ支えられてきた。



何度感謝しても、足りないくらいだよ。



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