鈍色、のちに天色









「か、楓南。ほんとーに大丈夫か?」


「大丈夫だって」


「本当に、本当?」


「本当だってば。陽希ったらしつこい!」


「うぅ〜ん、だってさぁ……」




心配する陽希を横目に、あたしはさっさと車椅子を動かす。



カバンの中には、"あの紙"が入っている。




リハビリしたら治ることを黙っていたこと、お父さんやお母さんにこっぴどく怒られた。


でもそれ以上に泣くほど嬉しがっていて、あたしも嬉しくなった。



お父さんにサインをしてもらい、これから病院に出しに行くところ。



その付き添いに、なぜか陽希が来る、という……


いや、なんで?

なんで陽希が付き添い?



ま、まあ心配してくれてるってことはわかるんだけどさ。



さっきから大丈夫かどうかを、しつこいくらいに聞いてくる。


それに大丈夫だと答える。



自分でも、何が大丈夫なのかわからないけど。



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