鈍色、のちに天色




陽希とは、3年生になっても同じクラス。



2年生のときよりお互いのことを知り、仲良くなったと思う。



そして1年間ずっと、陽希に片思いをしたまま。



勇気を持てないだとか、自信がないとか、そういう理由じゃない。



ただ、今のままで十分満足ってだけ。




「陽希、寝ぐせついてるよ」



「ちょっ、これは寝ぐせじゃなくて、セットしてきたの!」



「えー、ウソだぁ。寝ぐせじゃん」



「ちげーって!」




言い合うあたしたちを見て、周りの友達が笑った。




「あはは、ほんと2人は仲良いね」


「本当に付き合ってないのー?」


「すっごくお似合いなのに〜」




みんなはいつもそんなことを言う。



冗談かもしれないけど、それがちょっと嬉しかったりするんだ。



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