鈍色、のちに天色
*
数日後、朝。
いつも通り騒がしい教室。
女子は話に盛り上がり、男子はふざけ合い大きく笑っている。
その男子の中に、まだ陽希はいなかった。
「陽希、遅くない?」
「ねー、いつも10分前には来てるのに」
友達とそんなことを話していた。
登校時間終わりの1分前になっても。
────キーンコーンカーンコーン。
HR始まりのチャイムが鳴っても、陽希は姿を見せなかった。
「あら、三上くんは来ていないみたいね。遅刻? それとも風邪かしら? 誰か知ってる?」
あっちゃん先生が教室内を見渡すけど、誰も答える人はいない。
あたしと陽希が仲良いことを知っているからだろう。
あっちゃん先生はあたしを見たけど、何も知らないあたしは首を振った。
「……誰も知らないの? じゃあ、あとで電話かけてみるわね。よし、HRはこれで終わり!」