鈍色、のちに天色
「上野さん。たった今、三上くんのお母さんと連絡がとれたの。落ち着いて聞いてね?」
やめて、なんでそんなに深刻そうな声なの?
落ち着いて聞いてって、何を?
ドクッドクッと、心臓が嫌な音を立てている。
聞きたくない、でも聞かなきゃ。
「実は、三上くんが────」
事実を聞いた瞬間、すぅっと体が冷たくなっていくのを感じた。
「はぁっ……はぁっ……」
先生から言われた言葉で、あたしは勢いよく教室を飛び出した。
まだ上手く走ることのできない足で、全力で走る。
息が苦しくなっても、涙が滲んできても。
周りの人が変な目で見てきても。
あたしは足を一生懸命動かした。
「なんでっ……なんでなの、陽希っ……」
さっき、あっちゃん先生に言われた言葉が、頭の中でぐるぐると回っている。
────『三上くんが、事故に遭ったって……』