鈍色、のちに天色
「女子は全国大会に行けるかなー?」
「さあ? 行けるか行けない、ビミョーなとこじゃん?」
翌日、俺と海斗はそんな会話をしながら、女子の応援に向かった。
途中途中を見ていき、ゴールで待つ、ということになっている。
スタート前、俺は同じ学校の女子に頑張れー!と言ったあと、ある人を見つけた。
数いる選手の中で、ひときわ目立つ存在。
あの人は確か、北中学の上野 楓南。
今までの大会でも何度か見たことがあるけど、実際に走りを見たことはない。
ただ噂は聞いている。
北中学の駅伝チームのエースだって。
実力もあるけど……
その容姿にも、注目が集まっているよう。
陸上部にしては白くて、吹き出物なんかない綺麗な肌。
ユニフォームから伸びる長くて細い手足。
ショートカットの栗色の髪には、仲間とお揃いのヘアピンが光っている。
綺麗な顔立ちだけど、笑った顔はまだ幼さを感じさせて、それがまた男子を騒がせる。
俺も、可愛いなとは思ったけど、ただそれだけだった。