鈍色、のちに天色




「女子は全国大会に行けるかなー?」


「さあ? 行けるか行けない、ビミョーなとこじゃん?」




翌日、俺と海斗はそんな会話をしながら、女子の応援に向かった。



途中途中を見ていき、ゴールで待つ、ということになっている。



スタート前、俺は同じ学校の女子に頑張れー!と言ったあと、ある人を見つけた。



数いる選手の中で、ひときわ目立つ存在。


あの人は確か、北中学の上野 楓南。



今までの大会でも何度か見たことがあるけど、実際に走りを見たことはない。


ただ噂は聞いている。


北中学の駅伝チームのエースだって。



実力もあるけど……

その容姿にも、注目が集まっているよう。



陸上部にしては白くて、吹き出物なんかない綺麗な肌。


ユニフォームから伸びる長くて細い手足。


ショートカットの栗色の髪には、仲間とお揃いのヘアピンが光っている。



綺麗な顔立ちだけど、笑った顔はまだ幼さを感じさせて、それがまた男子を騒がせる。



俺も、可愛いなとは思ったけど、ただそれだけだった。



< 186 / 226 >

この作品をシェア

pagetop