鈍色、のちに天色
重たいまぶたをこじ開ければ、目を真っ赤に腫らした楓南の顔が飛び込んできた。
目を覚ました俺に気がついた楓南は、目を見開いて、その大きな瞳から涙をこぼれさせていた。
そんな楓南を見て微笑んで、俺は声を発した。
「よぉ……」
「っ……よぉじゃないよ! どんだけ心配したと思ってるの……!!」
「ごめんな」
「何時間も寝てるし、お医者さんに大丈夫って言われても安心できなかった」
「うん……ごめんな」
「もう……意味わかんない! 陽希なんて、大っ嫌いなんだから!!」
ごめん、楓南。
今は悪態を突かれても、愛しさが溢れてくるだけなんだ。
心配かけたことは悪いと思ってる。
だけど俺のことをこんなにも心配してくれた。
何時間も眠っている俺の傍にいてくれた。
それが嬉しかったりするんだ。
本当に、俺はこの人が好きなんだなって。
そう実感した。
「よかった、本当によかった……っ」
泣きじゃくる楓南の頭を、そっと撫でた。