鈍色、のちに天色
俺のことが心配だと言ってくれて嬉しいけど。
でもさ、楓南。
俺が楓南を置いて死ぬわけねーじゃん。
約束したってこともあるけど、それ以上に俺が楓南の傍にいたいんだ。
だから離れることなんて、しねーよ?
俺は楓南が落ち着くまで、黙って頭を撫でていた。
幸いにも、俺は脳震盪と軽い擦り傷程度だった。
何時間も眠っていたのは、ショックからだったらしい。
念のため1日入院したあと、無事退院することができた。
楓南と並んで病院を出る。
「まったくもうっ。2度と事故とか、やめてよね!」
「はいはい、わかってますぅー」
「ちょっと! 真面目に!」
昨日から楓南はずーっとこんな感じ。
めちゃくちゃ不安にさせたんだなって反省したけど、いい加減同じことを繰り返すのはやめてほしい。
グチグチ文句を言う楓南の頬をつねった。
「いふぁい! ふぁにふんのっ!」
「あのな、よーく考えてみろよ? 俺がそう簡単に死ぬと思うか?」
「ふぉふぇは……」
真剣な顔になったのに頬をつねったままで、思わず笑いそうになったけど、急いで手を離した。