鈍色、のちに天色









夏の大会、県大会の前日の夜。



あたしはベッドに寄りかかりながら、陽希と電話をしていた。




「ちゃんと炭水化物食べた?」


『ガッツリ2杯食べた!』


「お風呂上がりにストレッチはした?」


『バッチリ!』


「そっか、ならよかったぁ」




駅伝初心者じゃないのに、いやむしろ駅伝については詳しい陽希に、何度も確認している。



アドバイスも、あたしが教えられることは全部教えた。



あたしにできるのは、そのくらいしかないしね。




「……いよいよ、明日だね」


『おう』


「緊張してる?」


『うーん、全国大会に出れるかどうかの大会だし、それなりにしてるけど……それ以上にワクワクしてる!』


「ふふ、陽希らしいね」




いつも通りの陽希みたいでよかった。


それなら明日も、きっと自分の実力を発揮できるね。



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