鈍色、のちに天色




前に、陽希に言われたのを思い出した。



あたしが、部活の引退が嫌で『このまま、終わらなきゃいいのに』と、言葉を漏らしたことがある。



そんなとき、陽希はこう言った。


『確かに、部活を引退するのは寂しいけど……でも、これで終わりじゃない! この先もずっと続けていけば、仲間になることだって、戦うことだってできる!
俺たちは”駅伝”っていうもので、繋がってるんだからな!』




やっぱり、陽希の考え方は好き。


そして、その通りだと思った。



部活引退が、決して終わりなわけじゃない。


一区切りのゴールなのかもしれないけど、また新たなスタート地点を見つければいい。



そしてその言葉にあたしは救われた。



だって、またあたしも戦える希望があるから。


諦めずにリハビリを続けていれば、大学やその先でも”駅伝”というもので繋がれるから。



だから、明日の大会は駅伝の終わりじゃない。


新たな道の、始まりなんだ。



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