鈍色、のちに天色
手当てが終わった三上くんは、あたしの隣の席に座った。
「体動かすと、腹減るだよなー」
「……三上くんって、ほんと突然話が変わるよね」
「だって腹減ったんだもーん! あ、そうだ!」
ガサゴソとポケットに手を突っ込んで何かを取り出した。
個包装のチョコレートだった。
「上野、チョコ好き?」
「え? まあ好きかな」
「じゃあ、1つやるよ!」
「でも今授業中じゃん」
「あー、そっか」
そう言いながらも三上くんはチョコを口の中に放り込んだ。
え……と思ったら、口の中に何かを突っ込まれた。
甘くてちょっぴり苦い味が、広がる。
わわ、チョコ食べちゃった!
慌てて先生を見るけど、なにやら作業をしていて、気づいていないよう。
「共犯な?」
ニヤッと意地悪そうに笑う彼に、一瞬ドキッとしてしまった。