鈍色、のちに天色
「楓南」
名前を呼ばれて体を離した。
陽希は笑っていて、その頬は少し赤く染まっていた。
「学校に戻ってミーティングが終わったら、そのまま残ってくんね?」
「え?」
「2人きりで話したいからさ」
「……わかった」
あたしが頷いたのを見て、陽希は「じゃああとでな」と言って、チームメイトの元へ戻っていった。
2人きりで……話すことは、きっと決まっている。
でもだからこそ、ちゃんと話さなくちゃ。
それからバスで学校に戻り、ミーティングで泣いて笑って。
その盛り上がりのまま打ち上げに行こうとなったとき、陽希と目が合った。
こっそり輪から抜け出そうとすると、チームメイトから
「はると上野、どこに行くんだよ?」と声をかけられたけど、
別のチームメイトがバカっと頭を叩き、なにやら耳打ちをした。
ニヤけるチームメイトたち。
「先に言ってるからな〜」と呑気な声を出し、ゾロゾロと帰っていった。
……完璧バレてた。恥ずかしい。