鈍色、のちに天色
そのちょっぴり気まずい空気の中、あたしたちはグラウンドの外……フェンス越しにグラウンドを眺められる場所へ、自然とやって来た。
太陽が沈みかけ、オレンジ色の世界が広がる。
誰もいない、2人きりの世界みたい。
先に口を開いたのは、あたし。
「…懐かしいな。よくここから、練習している陽希を見てた」
「ああ、そうだったなあ…」
……今、陽希と心が通じてる気がする。
”全国大会出場”のこともそうだけど、陽希の”話したいこと”について。
正直に言うとね、聞かなくてもだいたいの内容はわかっている。
わかっちゃうんだよ。
でもね、ちゃんと言葉にして聞きたい。
そして、言いたい。
憂いを含んだ瞳、染まった頬。
お互いがそれに気づいて、今度は陽希が口を開いた。