鈍色、のちに天色
「ま、俺の気持ちなんてバレバレだったんだろうけどなっ」
明るく、でも恥ずかしそうに頭をかいた陽希を見て、愛しさが溢れ出てきた。
「楓南は? 楓南は俺のこと、どう思ってんだ……?」
……聞かないでよ、わかってるくせに。
聞かれなくても言うつもりだよ。
こういうとき、なんて言えばいいのかな?
……ううん、考えなくていい。
あたしの気持ちを、あたしの言葉で真っ直ぐに伝えるだけだから。
「あたしも、好きだよ。大好きだよっ」
全力の笑顔で、本当の気持ちを君に。
届いてる?
うん、届いてるよね。
そして、あたしは勢いよく照れる彼に抱きついた。
陽希も、ぎゅっとあたしを抱きしめてくれた。
もう何も言葉はいらない。
通じただけで幸せだよ。
「…そろそろみんなのとこ行かないとな」
「…そうだね。絶対、みんなに問い詰められるよ」
「だろうなぁー…。まあ、それはそれでありかもっ」
ニッと笑った陽希は、あたしの手を取り、引っ張った。
「だねっ」
同じようにあたしも笑い、手を繋いだまま駆け出した。
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