鈍色、のちに天色
「楓南、忘れ物してない? 大丈夫?」
「大丈夫だから。いってきます」
月曜日、あたしはいつも通りの時間に家を出ると、ほぼ同じタイミングで南那も出てきた。
一瞬目が合って、逸らされる。
チクッと胸が痛んだ。
でも、南那のほうが傷ついてるんだ。
あのときもう誰も傷つけないって誓ったのに……
ごめんね、南那。
学校に着くと、昇降口で三上くんと会った。
会った、というより、あたしを見つけた三上くんがあたしに駆け寄ってきた。
あたしたちの間に流れる気まずい空気。
構わず教室へ向かおうとしたら、三上くんに引き止められた。
「う、上野!」
「……なに?」
「あの、その……この前は本当にごめん! 俺、無神経なことばっか言っちまって……」
「別に、いい。気にしてないから」
あたしもこの前は、ヒートアップしすぎたから。