鈍色、のちに天色
そうやって、心配そうな顔をして傘を差し出さないでよ。
心が揺れちゃうじゃん。
眩しすぎるほどの光で、あたしを照らさないで。
光があるほうに、手を伸ばしたくなるじゃん。
「びしょ濡れじゃん……寒くないか? 大丈夫か?」
「……けて……っ」
「え?」
「三上くん、助けて……っ」
涙と雨で濡れた瞳で、三上くんを見つめる。
ほら、助けを求めてしまった。
あたしが絶対にしないようにしようって、決めてたことなのに。
あっさりそれをさせてしまうんだから、三上くんはひどい人だよ。
「心配すんなっ。ぜってー助けるから」
ニッと太陽みたいな笑顔を見せて、あたしの頭を撫でた三上くん。
彼の笑顔に、またもや揺れる心。
そっか、三上くんはそういう人だよね……。
「とりあえず、早く屋根のあるとこに行こう!」
あたしを車椅子に乗せた三上くんは、あたしに傘を持たせてダッシュで走り出した。