鈍色、のちに天色




着いたのは、家の近くの公園。



屋根があるベンチに三上くんは座り、あたしはその隣に車椅子のまま並んだ。



あたしはもちろん、三上くんまでびしょ濡れで少し申し訳なくなった。




「ごめん、速すぎたか?」


「ううん、大丈夫……」




さすが現役の陸上部。


めちゃくちゃ速くて、正直傘なんて意味ないんじゃないかっていうくらい雨に打たれた。



車椅子生活になってから、あんな速いスピードを感じたのは初めて。


久しぶりの感覚に、なんだか懐かしい気分になった。




「ほら、タオル。これで拭いて」


「あ、ありがと……」



ほいっと渡されたタオル。


遠慮なく使わせてもらうことにした。



もう一つ持っていたのか、あたしとは違うタオルで濡れた体を拭く三上くん。



少し落ち着いた頃、あたしは口を開いた。



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