鈍色、のちに天色
いつの間にか緩んでいた頬。
それは一瞬にしてなくなった。
「でも、朋也は死んだ。あたしのせいで」
一生忘れない、あのときの光景は。
「中学2年の冬。今日みたいに、雨の日だった。朋也を買い物に連れ回した帰り、あたしが飛び出しちゃったんだよね。すごい勢いで走ってくるトラックに気づかなくて」
傘を回して、青を点滅させている信号を渡ろうと、駆け出した。
『楓南っ!!』
後ろから焦ったように、あたしの名前を呼ぶ声。
横からすごい勢いで走ってくる大型トラック。
そのとき、すべてがスローモーションに見えた。
目をぎゅっとつぶり、体……主に足に鈍い痛みが走った。
目を開けて自分の足を見て、悲鳴をあげた。
血だらけで、動かそうとしても動かなかったから。
でも……
少し視線をズラすと、冷たく濡れた地べたに倒れる朋也が視界に入ってきた。
朋也の周りは血の海。
ピクリとも動かない朋也を見て、あたしは察した。
朋也はあたしをかばったんだ……
あたしをかばって、こんなことに……。