鈍色、のちに天色
その男子は一瞬目を見開いて、何かに驚いていた。
それを見てあたしは首を傾げる。
でも彼は我に返ったのか、笑顔を浮かべて口を開いた。
「もしかして、転校生?」
「あ、はい……」
「そうなんだ」
そう言った彼は、チラッと車椅子に目を向けた。
……やっぱ、車椅子のこと気になるのかな。
そりゃあ、そうだよね。
普通の反応だよ。
「あたし、歩けないんです。昔事故に遭って」
「事、故……」
なんであたし、こんなこと言ってるんだろう。
この男の子だって、困るだけじゃん。
だけど、どんな反応をするんだろうと、気になる自分もいる。
「歩けても歩けなくても、関係ないよ。せっかく同じ学校になったんだから、よろしくなっ」
そう言って明るく無邪気な笑顔を見せる彼。
……なに、それ。
ちょっと調子狂っちゃう。
こんなこと言われるなんて、こんな風に笑顔を向けてくれるなんて、想像してなかった。
きっとこの人は人を差別しない、優しくて真っ直ぐな人なんだろう。
そして太陽みたいにみんなを照らす、そんな人なんだろう。