鈍色、のちに天色




「もっと早く、出会ってればよかった。そうすれば、少しでも上野を早く救い出せたのに。っ……すげー悔しい」


「三上くん……」


「でも……でもさっ」


「え……っ」




三上くんはあたしの腕を引き、ぎゅっと抱き寄せた。



「上野は、もっと俺を頼れよ、全力で助けてやるから! 思いっきり泣いていいんだよ、受け止めてやるから! お願いだから、1人で抱え込むな……」




……本当にあなたは、ズルい人。


そんな優しい言葉をかけられたら、泣いちゃうに決まってるじゃん。



そう思う前にとどめなく溢れる涙。


それは今まで我慢してきた、悲しさだったり苦しさだったり。

いろんなものを含んでいた。



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