鈍色、のちに天色
必要とされてますか?
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:*
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5月になった。
生暖かい風が、新緑の香りを運んでくる。
「おはよっ。上野!」
「おはよう」
教室に入ると、三上くんがいつもの明るい笑顔で迎えてくれた。
そんな彼に対し、あたしも少しだけだけど、笑顔だったと思う。
ごく自然に。
あの日から、あたしと三上くんの距離感は、少し変わった。
というか、あたしが少しずつだけど心を開いてきたんだ。
鈍色だった心の色が、少し明るくなった気がした。
友達とふざけ合い、空を仰ぐように大きな声で笑う三上くんに目を向ける。
「はるって、本当バカだよな~」
「テストで”わかりません”って書くやつ、初めて見たんだけど!」
「正直に生きろって親に言われてるからなっ」
「ぶはっ! そーゆー意味じゃねぇだろ!」
三上くん、テストに”わかりません”って書いたんだ……。
素直っていうか、バカ正直っていうか。
アホじゃん。
呆れて心の中で笑っていると、HRの鐘が鳴った。
ぞろぞろと自分の席に戻るクラスメイト。
当然だけど、隣には三上くんが座った。
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5月になった。
生暖かい風が、新緑の香りを運んでくる。
「おはよっ。上野!」
「おはよう」
教室に入ると、三上くんがいつもの明るい笑顔で迎えてくれた。
そんな彼に対し、あたしも少しだけだけど、笑顔だったと思う。
ごく自然に。
あの日から、あたしと三上くんの距離感は、少し変わった。
というか、あたしが少しずつだけど心を開いてきたんだ。
鈍色だった心の色が、少し明るくなった気がした。
友達とふざけ合い、空を仰ぐように大きな声で笑う三上くんに目を向ける。
「はるって、本当バカだよな~」
「テストで”わかりません”って書くやつ、初めて見たんだけど!」
「正直に生きろって親に言われてるからなっ」
「ぶはっ! そーゆー意味じゃねぇだろ!」
三上くん、テストに”わかりません”って書いたんだ……。
素直っていうか、バカ正直っていうか。
アホじゃん。
呆れて心の中で笑っていると、HRの鐘が鳴った。
ぞろぞろと自分の席に戻るクラスメイト。
当然だけど、隣には三上くんが座った。