鈍色、のちに天色
あっちゃん先生が教室に入ってきて、今日の日程を確認。
その間に隣の三上くんは、こっそりあたしに話しかけてきた。
「そういえばさ、あの話受けてくれる?」
あの話……それは、この前三上くんに頼まれた。
『俺のコーチになってくんね? 走りのアドバイスとか、してほしいんだ』って。
迷った。だけど、あまりにも三上くんの顔が真剣だったから、あたしも真剣に考えて……
「うん。受けるよ、その話」
承諾することにした。
すると、三上くんの顔はみるみるうちに笑顔に変わっていく。
「まじで!? いいのか!?」
「うん」
「本当に、本当!?」
「本当に、本当」
「よっしゃー!!」
そんなに喜んでくれるんだ。
それなら、あたしまで嬉しい。
「こらっ、三上くんうるさいよ!」
「すいませーん! あー、めっちゃ嬉しい! ぐふふ」
「三上くん……気持ち悪いよ、」
あっちゃん先生、そんなに引かないであげて。
確かに、1人でニヤニヤしてる今の三上くんは気持ち悪いけど。
でもそんな三上くんを見て、頬が緩んじゃうあたしもいるんだ。