鈍色、のちに天色
空がオレンジ色に染まる放課後。
校舎には生徒や先生たちの楽しそうな笑い声。
グランドからは野球部やサッカー部の威勢のいいかけ声。
そのにぎやかな音の中で、あたしはフェンス越しにグランドを見ていた。
視線の先には、三上くん。
真剣に、でも楽しそうに走っている姿を見て、なんだかあたしも心地よい。
今まで相当努力してきたんだろうな。
そう思うくらい、三上くんには実力がある。
正直、あたしのアドバイスなんかなくても大丈夫だと思う。
でも三上くんはアドバイスしてほしいがためだけにあたしに頼んだんじゃなくて──
────ピーッ。
休憩の合図の笛。
途端に駆けてくる彼。
「おい、陽希! どこ行くんだよー?」
「へへっ。俺のコーチのとこ!」
チームメイトにそう答える三上くんの顔は、眩しかった。