鈍色、のちに天色




水分補給をとって少し休憩したあと、練習が再開する前に走り出す三上くん。



すごい……三上くんの体力は底なしだね。



しばらく、太陽に負けないくらい輝く彼を見ながら考えた。



三上くんがあたしにコーチを頼んだ理由。



それは、あたしに"生きている意味"を持たせたかったから。

そう思うんだ。



自分が何かの役に立っている、誰かが自分を必要としている。

そのことをわからせたかったんじゃないかなって。



アドバイスが欲しかったのもあるかもしれない。



でも、それが1番の大きな理由だと思うんだ。



申し訳ないけど、意図がわかっちゃったよ。





「ありがとね……」


あたしは小さく、でも確かにグランドの彼に向かって、そう呟いた。



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