鈍色、のちに天色




「そういえば、三上くんはどこに住んでるの?」




あたしは通いやすいように、車椅子でも15分ほどで着くところに住んでるけれど。




「あー……俺はいいんだよ」




え、なに?

なんで教えてくれないの。



……もしかして。




「電車通学?」


「……バレちったかー」


「それ、最初に言ってよ。送ってもらっちゃたじゃん」


「いいんだよ、それは! 俺は送りたかっただけだから」


「それなら……いいんだけど」




そう言ってくれるのはありがたいけど。



遠回りさせちゃって、申し訳ないことしちゃったな。



三上くんと他愛ない会話を交わしていると、あっという間に家に着いた。




「送ってくれて、ありがと」


「あ、うん……それは、全然」






なんだか落ち着かない様子の三上くん。




「なに? どうかした?」


「あの……さ、」


「うん」


「……連絡先教えてっ!!」


「へっ?」




れ、連絡先?

急にモジモジするから何かと思ったら……そういうことか。



拍子抜けしちゃうのと同時に。



「……ふふ」




緊張する三上くんが可愛くて、笑っちゃうよ。



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