鈍色、のちに天色
────キーンコーンカーンコーン。
鳴り響く学校のチャイム。
その瞬間、男の子は焦ったようにジタバタし始めた。
「やばっ……もう完璧遅刻じゃんっ。じゃ、じゃあまたどっかでな!」
「あ、はい……」
手を振った彼は、風のように駆け抜けていった。
……なんか、悪いことしちゃったかな?
まあいいか。
あたしももう職員室に行かないと。
そう思い、タイヤを回していった。
────コンコン、ガラッ。
「失礼します。転校してきた、上野 楓南です」
職員室に入ると、反応した1人の女の先生。
小柄で可愛い先生だった。
「あなたが上野さんね? 私が、あなたのクラスの担任です。みんな、あっちゃん先生って呼ぶから、気軽に呼んでね!」
”あっちゃん先生”って呼ぶことを許してる先生って、いるんだ。
いい先生みたいでよかった。