鈍色、のちに天色
幼なじみであり、好きな人であった朋也。
そんな特別な存在を、忘れることなんてできないよ。
朋也がいなくなったとき、気持ちを伝えていればよかったって後悔した。
でも、伝えていればもっと辛かったかもしれない。
今は朋也に対して、恋愛の”好き”というより、後悔の感情が強い。
朋也のことを思い出すと、胸が締め付けられるように痛いんだ。
「……ま、自分を責めすぎんなよ。ウチはさ、楓南に幸せになってほしいだけなんだよ」
「うん、それは痛いほど伝わってる。ありがとう、紗彩」
「後悔しない道を選べ。自分を信じてな」
優しく微笑んだ紗彩に、あたしも不器用ながら笑い返した。
……ごめんね、それはできないかも。
今のあたしの人生はあたし中心で回っていない。
後悔だらけだとしても、あたしの選ぶべき道は決まっているんだ。
でもね、きっと大丈夫。
こうやって会いに来てくれる親友と、手を差し伸べてくれた彼がいるから。
心の痛みが少し和らいだんだよ?
そして今、必要としてくれてるから。
頑張ろうって思える。